こだわり

はじめまして、このたび、鯛焼きの元祖、麻布十番の「浪花家総本店」から暖簾分けを許され、鎌倉に天然一丁焼きたい焼きのお店、「鎌倉浪花家」を開業いたします。店主の栗原康至です。

 

私が思う、浪花家の鯛焼きは、パリッとサックリとした香ばしさと、なのに食べた瞬間にシュワっと口の中で溶ける薄皮と、小豆の風味がしっかりきいたあんが、譲れない特徴であります。それにくわえ、あんこのみつ糖が、薄皮からしみでてきて、ところどころ斑点状のカラメルになります。ポツポツと浮き出たカラメルのコゲが苦みとなってまた味をだします。昭和の名曲 「およげ!たいやきくん」 の歌詞に『少しコゲあるたいやきさ』とありますが、まさに、これか!と納得しました。【注1】

こだわりと言うからには、無農薬とか国産特選素材等を使っているとか、想像される方もいらしゃるかもしれませんが、いやいや、反対に、たい焼きは、高級品であってはいけない、上品になってもいけない。ので、皮が薄く、渋のでない小豆は使いません。浪花家の鯛焼きにはあわない、小豆も上品ではないです。けっこう、アクでます渋切りすると水が黒くなります。渋いです。しかし、上手にアクをとってやると、コクある骨太な野性味溢れる餡子になるんです。だから甘みを引き立たせるために入れる塩も、塩辛いギリギリまで攻めます。冷めたら甘みが遠のくから、塩が前にでてきます。鎌倉浪花家の鯛焼きは冷めたら甘くないです。ぼやけてないです。ごまかしがききません。男前なんです。

 

 とにかく、全部自分のところで作ります。あんこは今では珍しい銅の羽釜で十勝産小豆をコトコトじっくりゆっくりと、8時間煮て、手で練り上げます。そうすることで、豆が程よく潰れてちょうどいい塩梅になります。皮は小麦粉と重曹と水だけで冷やし溶き、そして一匹一匹ずつ手焼きします。小豆も十勝産○○町と産地指定して1年分仕入れをして、小さなお店ですから浪花家総本店からわけてもらっていますけどね。こうやって手間ひまかけて作らないとだせない塩梅があるんです。

 

美味しいと思ってもらえるには、この塩梅が大事ですが、それだけじゃない。郷愁を感じてもらえる、つまり、懐かしい味、味わいのある味を大切にしたいです。

 

昨今は、若者好みの、味の濃い、味をつめた食品が多く好まれますが、ウチの鯛焼きは違います。あえて、詰め込みすぎないように詰めないようにしています。そうすると、味に飽きがきませんから、何度でも食べたくなる味、懐かしい味になるんです。

 

 

 

【注1】浪花家総本店は「およげ!たいやきくん」のモデルです